エド券の沼

券売機は沼の入口。

日立運輸東京モノレールの連絡乗車券

新橋の某店には最近よくお世話になってるのですが、そこでこんなのを買ってきました(110円)。

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「日立運輸東京モノレール」とかいう見慣れない会社名に、「空港」がつかない羽田、「国鉄線」とネタだらけの1枚です。

1979年と42年前のきっぷ、一つずつ紐解いていきましょう。

 

・日立運輸東京モノレール

「日立運輸東京モノレール」は東京モノレールの歴史を語らないといけないのでできるだけざっくりと。

 

1964年に開業した東京モノレールは、日立製作所名鉄などが出資する「東京モノレール株式会社」が運営していました。

しかし開業時の運賃は250円。国鉄の初乗りが20円の時代なので、現代の価値では2000円弱ぐらいのハイパーぼったくり運賃。オリンピック後は無事ガラガラになり、潰れかけます(名鉄は開業翌年に資本を引き上げて逃走)。

結局支援策として日立はグループの日立運輸と西部日立運輸を東京モノレールに合併させて子会社化。ここで「日立運輸東京モノレール株式会社」が誕生します。

 

超ぼったくり運賃は66年にとりあえず4割値下げ、浜松町駅と空港駅しかなかった路線に途中駅を追加等集客に努めた結果、経営は好転。1981年に「東京モノレール株式会社」を設立し、モノレールを同社に譲渡、日立運輸東京モノレールは「日立運輸株式会社」に改称し、現在の日立物流になります。

 

東京モノレールはその後2002年に日立グループから離れ、JR東日本の傘下に入ります。現在の駅の券売機や改札がJRと同じなのはこのためです。

ただし車両やモノレール技術は日立製のため、現在でも日立製作所が12%の大株主と一定の関係は残っているようです。

 

・羽田駅

羽田駅は現在の天空橋駅です。かつて羽田空港は現在の整備場駅と第3ターミナルの間ぐらいしかスペースがなく、第1ターミナルや第2ターミナル付近は全部海でした。飛行機の発展で羽田空港は沖合にどんどん拡張され、1993年の新ターミナル開業でほぼ今の形になります。

羽田駅はその新ターミナルが開業する前、旧ターミナル前の地下にあった駅で、現在は全て埋められています。そんな羽田駅は1993年の新ターミナル開業時に移転、一足先に建設した京急との乗り換え駅になります(このとき京急は羽田駅が終点)。

その後1998年に羽田から天空橋に改称されて現在に至ります。

 

国鉄線120円区間

1979年といえば皆さんご存知の通り、国鉄は絶賛赤字垂れ流し中。あまりにも赤字が増えるばかりなので、国鉄は毎年のように運賃をガンガン上げています。

 

このきっぷの国鉄120円はどれくらいかというと、どうやら4〜10キロ区間のようです。というか1979年5月20日、つまりこのきっぷの2ヶ月前に100円から値上げしてました。これは現在のJR東日本の運賃(東京の電車特定区間)で160円か170円。意外と上がってねえな。

分割民営化直前の1986年9月1日の値上げで同区間は150円と160円に上がっているため、35年前からほとんど値上がりしてません。JR頑張りすぎだろ。

 

東京モノレールはやっぱり超ぼったくり

さて、次は東京モノレールの値上がりを見てみます。このきっぷは350円なので、国鉄の120円を引いて羽田から浜松町は230円です。現在の浜松町ー天空橋は420円、浜松町ー羽田空港は500円なのでものすごい値上がりです。

ちなみに浜松町ー羽田の距離は当時13kmだったため、国鉄の運賃に当てはめると140円です。

うん、やっぱり高いわ。

 

・技術的な話とか

当時自動券売機はまだまだ発展途上で、自動改札もなかったため、磁気情報がついたきっぷはありませんでした。そのため首都圏含め80年代前半ぐらいまでは硬券も多く、実際にヤフオク等でたまに出てくる日立運輸東京モノレールのきっぷは大抵硬券か記念乗車券です。

そんな時代の自動券売機のきっぷですから、よく見たら文字はドットがかなり目立ちます。ちなみに地紋はPJRに見えてTMK。東京モノレールオリジナルのもので、平成になっても使ってたようです(現在はPJR)。

 

それにしてもこのころから券売機の連絡乗車券の形式はほぼ同じだったんですねえ…

 

 

 

というわけで1枚のきっぷだけでこんなにネタが出てきました。古いきっぷは面白いのばかりなので、今後もいろいろ探して買ってきます。

 

あ、そういえばエド券の同人誌書いたので買ってください↓

https://asuka-misakako.booth.pm/

 

 

北総鉄道(1)〜成田空港への連絡回数券〜

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北総鉄道は東京都葛飾区にある京成高砂駅と千葉県印西市にある印旛日本医大駅を結ぶ路線です。

全国屈指の高額鉄道として有名であり、「財布を落としても定期は落とすな」と言われるほど高額な運賃は裁判沙汰にもなっています。

 

そんな北総線の沿線ではいくつか回数券のバラ売り自販機が設置されています。関東では比較的珍しい文化ですが、それも高額運賃が原因でしょう。

私は千葉ニュータウン中央駅近くにある自販機を利用しましたが、その自販機にあったのは「成田空港」の文字。

 

北総線なのに成田空港?となるかもしれませんが、この路線は「京成成田空港線」でもある二重戸籍区間なのです。そのため、印旛日本医大から先は京成線が成田空港まで延びており、北総線は空港アクセス路線でもあるのです。

 

回数券の話に戻しましょう。バラ売り回数券は1枚800円でした。高い。

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この回数券、北総線の通常の回数券(下のオレンジのきっぷ)とは仕様が大きく異なっており、自動券売機で買えません。

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ではどうやって買うのかというと、改札窓口に置かれている業務用端末で出すしかなく、その端末は水色の紙が入ってるため、このように全くデザインが異なるのです。

さらにどうやら磁気情報がないらしく、自動改札も使えません。成田空港では改札係員に回数券を手渡しする様子も稀に見ることができます。

また、この回数券は普通回数券11枚綴りしか発売されていません。

 

どうしてこんなことになってしまったか、それは先程の「京成成田空港線」が絡んできます。

 

例えばこの券のように千葉ニュータウン中央から成田空港まで向かう場合、途中の印旛日本医大から鉄道会社が北総から京成に変わります。つまりこの回数券は「2社連絡回数券」なのです。

 

通常回数券は会社が違うと別々に買うことが基本で、最寄りの会社以外は境界駅まで買いに行く必要があります。しかしここでは「北総線の電車のふりをした京成線の電車」が走ること、そもそも境界駅(印旛日本医大)が北総の管轄、成田空港への通勤需要などから、このような券を出すことで便宜を図っているのでしょう。磁気が入っていないのはよく分かりませんが(北総線の端末で磁気入りの券は普通に出ます)。

11枚の普通回数券しか発売されていないのは、恐らく京成と北総で回数券のシステムが違うからと思われます。両社とも普通、時差、土休の3種類がありますが、普通はどちらも11枚なのに対し、時差は京成が12枚、北総が15枚、土休は京成が14枚、北総が15枚と割引率が異なるのです。このため、両社共通の普通券だけなのでしょう。

 

ちなみに京成側になる成田空港、空港第2ビル、成田湯川の場合、どうやら自動券売機で購入できる区間があるそうです。この場合はどうなるのか気になるところですが、京成側の各駅近辺にバラ売りをするところはないので普通に買うしかありません。最低でも3000円、上野からスカイライナー乗ってもお釣りが来ちゃうぐらい。

 

やはり北総線は高すぎる。

沼の入口

多くの人がいつも利用する鉄道。

日本の鉄道は世界でも有数の利用者を数え、都市部の駅では人が絶えることがありません。改札に行くと「ピッ」という音が無限に流れてきます。

 

ところで皆さん、近距離で紙のきっぷは使いますか?

 

2021年6月にスパロコが行った調査によると、首都圏1都3県の10~60代の鉄道利用者の実に9割がICカード、またはモバイルのICカードを使用しているようです。

(↓こちらの記事を参照しました)

www.itmedia.co.jp

 

極端に言ってしまえば首都圏では「紙のきっぷで電車に乗るという文化はほぼ終わった」ということになります。それでもまだ紙のきっぷの利用者はいますし、例えば回数券などは紙のきっぷです。また、新幹線や特急列車のきっぷは紙のものを使う人が大多数なので、完全に終わったわけではありませんが。

 

このブログではその終わりかけている文化の紙のきっぷ、特に「エド券」に注目します。

 

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エド券」とは「エドモンソン券」と呼ばれるきっぷのタイプで、JRでいうところの券売機で買うオレンジ色のきっぷです。

 

このきっぷ、めっちゃくちゃ沼なんです。落ちたら終わります。私は主に財布が終わっています。

 

普通の乗車券だけでなく、連絡乗車券や回数券、精算券に端末の違いなどなど…挙げればキリがありません。

 

というわけで前置きが長くなりましたが、このブログを見たのが最後。あなたを「エド券の沼」に落とします。覚悟していてください(ぉ